「医療費が一部ですが戻ってきますよ」還付金詐欺の手口と対策
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※この記事は2022年2月に公開したものを、警察庁が2026年5月に発表した「令和7年における特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について(確定値)」をもとに、大幅に加筆・修正しています。
実は令和7年、還付金詐欺そのものの認知件数は前年より減っています。
しかし、それで安心していい話では全くありません。理由は本文で詳しくお伝えします。
還付金詐欺だけが減っても油断できない理由
この記事を最初に書いた2022年当時は、新型コロナの混乱に乗じて還付金詐欺が前年の2倍近くに急増していました。
あれから4年、状況はまた大きく様変わりしています。
警察庁が2026年5月に発表した令和7年(2025年)の確定値によると、特殊詐欺全体の認知件数は27,832件(前年比+32.3%)、被害額は1,423.1億円(前年比+98.0%)と、どちらも統計開始以来の過去最悪を更新しました。
被害額はほぼ倍増です。
ところが、この記事の主役である還付金詐欺そのものの認知件数は3,179件(前年比-21.9%)、被害額は61.9億円(前年比-2.8%)と、実は減少しているんですね。
特殊詐欺全体を過去最悪に押し上げた主犯は、「ニセ警察詐欺」という新しい手口です。
警察官や検察官を名乗り、「あなたの口座が犯罪に使われている」「捜査に協力しないと逮捕する」などと不安を煽り、ビデオ通話やSNSを使って言葉巧みに金銭やキャッシュカードを奪う手口。
令和7年だけで認知件数11,014件、被害額1,005.0億円と、特殊詐欺全体の約4割を占めるまでになりました。
オレオレ詐欺(14,489件)のうち、実に74.9%がこのニセ警察詐欺だったというデータもあります。
末尾「0110」は罠!警察を騙る偽電話詐欺の手口と対策【あなたの口座が危ない】
つまり、詐欺師たちは還付金詐欺という「古い得意技」から、ニセ警察詐欺という「新しい得意技」に軸足を移しつつあるということです。
手口も、電話一本でATMに向かわせる単純なものから、ビデオ通話や偽の警察手帳の画像を使った、より手の込んだものへと進化しています。
とはいえ、還付金詐欺そのものが消えたわけではありません。
令和7年も年間3,179件、1日あたり約9件のペースで被害が発生し続けていて、被害者の多くが今も高齢者であることに変わりはありません。
詐欺師は昔からずっと流行を追い、それに乗って人を欺いてきました。
手口が世代交代しても、「不安を煽って冷静な判断力を奪う」という根っこの部分は変わっていません。
まずは還付金詐欺の基本を、あらためて確認していきましょう。
還付金詐欺ってなに?
「市区町村や年金事務所、税務署の職員などを装って医療費や保険料、税金の払いすぎ分が戻ってきますよ、そしてATMへ行って指示通りにボタンを押してもらえば、あなたの口座に還付金として入金されます。」と言葉巧みに被害者をATMへ誘導。
詐欺師の口座にお金を振り込ませる(正確には、振込操作をさせて詐欺師側の口座に送金させる)手口です。
多くは「税金」や「医療費」「年金」の払いすぎを理由に還付金詐欺を仕掛けます。
「国は血税を無駄にするのか!」「私たち国民の大切なお金なんです。」といったことも見聞きするので、税金や社会保障は理由にしやすいですよね。
劇場型詐欺と言われるようになって久しいですが、還付金詐欺でも市区町村の職員を装って電話し、還付金の説明をしたら「電話を切ってそのままお待ちください。銀行の方からまた改めてそちらに連絡がありますので」と、職員役や銀行員役など複数人で詐欺を仕掛けることも。
言われた通り電話がきたら、信じてしまいそうですよね。
「お金が戻ってくる」と言われたら誰でも嬉しいし、元々払い過ぎていただけなのに、なんだか得した気分にもなる不思議なワードだと思いませんか?
また、名乗る名目は「還付金」だけとは限りません。
「特別給付金」「支援金」「助成金」など、呼び方を変えて同じ手口が仕掛けられることも珍しくありません。
こちらは私が実際に受信した迷惑メールで、ほんの一部でもあります。
日本生活協力機構この度、お客様への臨時給付が決定しました。 【友達追加しないで】
特別救済支援機構富永美紀 貴方様に対して1億2000万円の提供が決定しております。
特に迷惑メールやSMSの世界では、電話による還付金詐欺が下火になった今も、こうした「〇〇給付金」「〇〇支援金」を装う文面で送られ続けています。
本文中のリンクを踏ませてID・パスワードやカード情報を入力させるフィッシング型のものも多く、電話とはまた別の入り口として今も現役です。
「還付金」という単語だけを警戒していると、こうした言い換えに気づけないことがあるので、注意してください。
警察庁のSOS47特殊詐欺対策ページでも、還付金詐欺について注意喚起がされています。
ATM(現金自動預払機)は、お金を「受け取る」ための機械ではありません。
還付金や払い戻しの類は、ATM操作だけで完結することは絶対にないと覚えておいてください。
これさえ知っていれば、還付金詐欺の手口はほぼ見抜けます。
警察庁の集計(令和7年確定値)
ここからは、警察庁が公表している最新の確定値をもとに、還付金詐欺と特殊詐欺全体の実態を数字で見ていきます。
すべて警察庁の一次資料に基づく数字です。
特殊詐欺全体
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特殊詐欺(認知件数) | 27,832件(前年比+6,789件、+32.3%)=統計開始以来の過去最悪 |
| 特殊詐欺(被害額) | 1,423.1億円(前年比+704.3億円、+98.0%)=統計開始以来の過去最悪 |
| 還付金詐欺(認知件数) | 3,179件(前年比-891件、-21.9%) |
| 還付金詐欺(被害額) | 61.9億円(前年比-1.8億円、-2.8%) |
| 還付金詐欺(検挙件数) | 1,052件(前年比+10件、+1.0%) |
| 還付金詐欺(検挙人員) | 197人(前年比-14人、-6.6%) |
| ニセ警察詐欺(認知件数) | 11,014件(特殊詐欺全体の39.6%) |
| ニセ警察詐欺(被害額) | 1,005.0億円 |
| ニセ警察詐欺(既遂1件当たりの被害額) | 922.5万円(ニセ警察詐欺を除いた特殊詐欺256.7万円の約3.6倍) |
| 予兆電話 | 331,653件(前年比+138,178件、+71.4%) |
還付金詐欺には、いくつか際立った特徴があります。
令和7年上半期のデータでは、被害者の93.9%が60代以上で、そのうち約6割が女性でした。
当初の接触ツールはほぼ全てが固定電話への架電、被害金の交付形態も9割超がATMからの振込という、他の手口に比べて非常に「型が決まっている」詐欺だとわかります。
また、2022年当時の記事執筆時点(令和3年)と比べると、還付金詐欺は4,004件から3,179件へと減少しています。
一方で特殊詐欺全体は14,498件・被害額282.0億円から、27,832件・1,423.1億円へと大きく膨れ上がりました。
手口の中身が入れ替わりながら、詐欺という産業全体は拡大し続けているというのが実態です。
なお、2026年に入ってからの速報値でも、還付金詐欺の減少傾向は続いています。
令和8年2月末時点の暫定値では、認知件数335件(前年同期比-198件)、被害額7.1億円(前年同期比-2.4億円)と、前年を大きく下回るペースで推移。
実際の音声や動画
還付金詐欺グループの実際の手口や、被害防止のための動画は、警察庁のSOS47特殊詐欺対策ページで公開されています。
警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ
・還付金詐欺の手口紹介
自治体、税務署、年金事務所の職員などを名乗り、医療費・保険料の過払い金や、一部未払いの年金があるなど、お金を受け取れるという内容の電話をかけてくる手口が紹介されています。
対策として、固定電話への国際電話の着信ブロック、携帯電話での知らない番号の着信拒否設定、そして「最寄りの警察署にかけ直して本物かを確認する」ことが呼びかけられています。
こちらは還付金等詐欺の手口と対策をまとめた、一般社団法人全国銀行協会の解説ページです。
還付金詐欺以外の手口についても、参考になさってください。
一般社団法人 全国銀行協会
・振り込め詐欺(特殊詐欺)にご注意ください
また、警察官や検察官を名乗るニセ警察詐欺についても、警察庁が特設ページで注意喚起しています。
還付金詐欺と手口の入り口は違いますが、不安を煽って冷静さを奪うという構造はそっくりなので、あわせて知っておくことをおすすめします。
警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ
・特殊詐欺の手口一覧と今日からできる対策
警察官等をかたる者が、電話やSNSのビデオ通話で接触し、「捜査対象になっている」「逮捕状が出ている」などと不安を煽って金銭を要求してくる手口が紹介されています。
警察がSNSで連絡したり、ビデオ通話を利用することは絶対にありません。
固定電話は詐欺の入り口
おじいちゃんおばあちゃんと同居していない世帯が多く、それ自体は日本のこれまでを考えればやむを得ない選択でもあります。
おじいちゃんおばあちゃんも「子供たちに迷惑や心配は極力かけたくないから」と、別居を望む人が増えています。
離れて暮らす家族を詐欺という犯罪からどう守るのかを改めて考えてみてください。
ナンバーディスプレイの電話機だから大丈夫だと思っていませんか?
その電話機を利用する人自身は、機能を理解した上で使っていますか?
世代、時代、個人で通信機器への理解、電話をかけてきた相手への考え方も違います。
「せっかくかけてきたのに、出ないのは失礼」「不要な電話でも一応話は聞く」といった対応を取ります。
イメージ的には年配の方が・・・なのですが、年齢は関係ないようで、おそらく家族の影響もあるかと推測します。
「電話でお金の話は詐欺」だということを再度認識してもらいましょう。
令和7年の確定値でも、還付金詐欺やオレオレ型特殊詐欺では電話が当初接触ツールの9割以上を占めています。
手口が多様化した今も、「まず電話に出させる」という入り口の部分だけは変わっていないのです。
還付金等詐欺の具体的な対策
では具体的な対策として、どうすれば効果があり、詐欺を未然に防げるのでしょうか?
兵庫県警のHPがわかりやすかったので、抜粋して掲載しています。
兵庫県警
・特殊詐欺被害防止より抜粋電話に出ないための対策
「非通知」の電話に応答しない
電話番号通知サービスを利用し「非通知」で電話してくる相手に応答する必要はありません。
電話帳機能がある電話機であれば、知らない相手の電話に出る必要がなくなります。留守番電話に常時設定
本当に用件がある相手であれば、留守番電話にメッセージを録音するはずです。
留守番電話のメッセージを確認して折り返し電話することで、不審な電話への対応を防止できます。防犯機能付き電話機の活用
家電販売店や電気通信事業者等において、警察から情報提供している犯人の電話番号からの着信を自動で拒否する機能等を備えた様々な防犯機器(電話機本体や電話機に取り付ける機器)が販売されています。
このような機器を設置することで、不審電話を撃退することが可能となります。必ず誰かに相談する
犯人は言葉巧みに話しを進めますので、一度電話に出てしまうと相手のペースに巻き込まれて冷静な判断ができなくなってしまいます。
しかし、冷静な第三者に相談すれば「詐欺ではないか」と気付くケースがほとんどです。
電話でお金の話が出たときは、必ず誰かに相談してから対応してください。最寄りの警察も頼って
相談できる相手がいない、相談しても本当かどうか分からないというような場合も。
間違っていても大丈夫です。
秘密を厳守しますので、遠慮することなく、最寄りの警察署に相談してください。家族と連絡を取り合う
普段から定期的に連絡を取っておられる息子さんが、お母さんに電話した際、お母さんから「お金は用意するから安心して」と言われ、「お母さん、お金って何のこと?電話もしてないよ。
それはオレオレ詐欺とちゃうか?」と言って被害に遭わなかったという事例も多数あります。
令和7年からは、国際電話番号を使った詐欺の急増を受けて、新しい対策も呼びかけられています。
固定電話・ひかり電話であれば、「国際電話不取扱受付センター」に申し込むことで、国際電話番号からの発着信を無償で休止できます。
携帯電話も、国際電話の着信規制ができるアプリを使えば、着信そのものを遮断可能です。
国際電話不取扱受付センター
・国際電話利用契約の利用休止申請還付金詐欺の犯人グループは国内から電話をかけてくることが多い一方、ニセ警察詐欺などの新しい手口では国際電話番号の悪用が急増しています。
令和7年中に犯行利用が確認された電話番号のうち、国際番号は92,996件(前年比+95.4%)にのぼります。
身に覚えのない海外番号や「+」から始まる番号からの着信は、まず疑ってください。
留守番電話は効果的な対策の一つといえます。
犯人への効果
犯人は声が録音される事を嫌がりますから、留守番にセットされていれば電話を切ります。
上にもありますが、本当に用がある、急を要するようなことであれば、電話をかけてきた人は必ず折り返すようメッセージを残すでしょ?
自身への効果
電話で詐欺を仕掛けてくる場合は、とにかく口がうまく、相手に考えるスキすら与えない、よどみなく話し、丸め込むのが得意。
人を騙すことに長けたプロ相手だと、冷静さを失い相手のペースにのまれてしまいます。
犯人の話自体を聞かないというのも効果的な対策になるのです。
私はセールスや勧誘の電話は嫌いなので、固定電話は留守電のままです。
携帯は留守電にするまでもない位、着信はないので留守電にしていません。
知らない番号からかかってきたら「はい」としか言わず、決して名乗りません。
相手が名乗り、私のフルネームで「○○○○さんのお電話でよろしいでしょうか?」と言われても「はい」としか言わず、要件を聞きます。
そして、セールスなど不要な場合は「結構です、いりません」と、すぐに切ります。
防犯用電話の貸し出し
留守番電話だけでは不安なら、自治体などで特殊詐欺の被害防止に対策された防犯用の電話を貸し出しています。
お住いの地域の方が対象ですから、借りる場合は、そういった電話の貸し出しをしているか調べてみてください。
こちらはその例です。
東京都台東区
・特殊詐欺被害防止に「自動通話録音機」(※電話がかかってくると自動で相手方に警告メッセージが流れ、通話内容を録音する機械)を無料で貸し出します
お住まいの自治体でも同様の制度がないか、一度「〇〇市(区) 自動通話録音機 貸出」などで検索してみることをおすすめします。
多くの自治体で、高齢者世帯を対象に無料または低額で貸し出しています。
還付金詐欺対策まとめ
上にも書きましたが、詐欺被害者の多くは今も高齢者です。
ここをご覧のあなたはどのような詐欺でも騙されないかもしれませんが、あなたのご家族は大丈夫ですか?
おじいちゃんおばあちゃんは、離れた場所にお住まいではないですか?
あなたやあなたの家族の大切な財産を詐欺師に奪われることのないよう、家族で協力しましょう。
離れた場所にお住まいのおじいちゃんおばあちゃんには、テレビ電話で顔を見せてお話してください。
いつでも困ったことを相談できる雰囲気でいることが大切なのではないでしょうか。
還付金詐欺そのものの件数は減っていても、詐欺師たちはニセ警察詐欺という新しい手口に軸足を移しただけで、活動をやめたわけではありません。
「うちの親は還付金詐欺には気をつけているから大丈夫」という安心が、実は一番危ういのかもしれません。
- ・ATMでお金が返ってくることは絶対にない
- ・電話でお金の話は詐欺
- ・警察官や検察官がSNSやビデオ通話で連絡してくることもない
- ・おかしいな、変だなは詐欺
- ・国際電話の着信対策をしておく
- ・困ったら必ず相談(警察相談専用電話#9110)
もう一度、あなたもご家族と対策を見直して、進化を続ける詐欺師に騙されないよう注意し、お過ごし下さい。
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