〇〇Payで返金は詐欺|PayPay返金詐欺の手口と対策を解説
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PayPayを悪用した返金詐欺が後を絶ちません。
「在庫切れなので返金します」と持ちかけ、実際には被害者自身の操作で送金させる手口です。
最近、同様の注意喚起記事を目にする機会が増えていましたが、2026年6月、ついに逮捕者がでました。
決済サービスの利用者拡大とともに詐欺グループの標的にもなっていて、PayPay側も警察も注意を呼びかけています。
事例で見る返金詐欺手口の実態
今回はPayPayの事件を中心に解説していますが、これはPayPayに限った話ではありません。
消費者庁の注意喚起も「〇〇ペイ」と一般化した呼び方をしていますし、楽天ペイも自社サイトで同じ手口について注意喚起をしています。
コード決済というインターフェース自体に共通する構造なので、d払いやau PAY、メルペイなど他のコード決済サービスでも同じ手口が成立すると考えておいてください。
トクリュウの関与も疑われる
警視庁サイバー犯罪対策課は2026年6月、通販サイトの利用者に偽の返金メールを送り、PayPayの電子マネーを詐取した容疑で札幌市の男(33)を逮捕しています。
容疑者は仲間と共謀し、通販サイトで注文した女性に「在庫切れのため返金手続きを行う」とうその案内を送り、LINEに誘導した上でペイペイの送金専用QRコードを送付。
4回にわたって計21万7690円分の電子マネーを送金させた疑いがあります。
被害者は「送金制限の解除手続き」と称して別のLINEアカウントの音声通話で認証コードの入力を指示されましたが、実際には送金画面に金額を入力させられていました。
この事件で注目すべきは、同様の相談が警視庁だけで前年1年間に約180件寄せられていた点。
一件の逮捕の裏に、同型の被害が積み重なっている構図がうかがえます。
また容疑者はテレグラムで中国語の指示を受け、翻訳アプリでやり取りしていたとされ、捜査当局は匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の関与を視野に調べています。
国民生活センターへの相談事例
在庫切れのため返金すると言われ、指示されたとおりに〇〇ペイのアプリで手続きしたら相手に送金していた。
探していた商品をインターネットで検索したところ、他のショップより安く売っていたので注文。
「本日中に振り込めば割引する」とあったので、その日のうちに注文確認メールに記載されていた外国人と思われる個人名義の口座に2万円を振り込みます。
翌日ショップからメールが来て、「在庫切れのため返金する。〇〇ペイで返金するのでLINEにこのアカウントを友達登録して」とあったので指定されたアカウントを友達登録。
その後、LINEの無料通話機能で話しながら、指示されたとおりに〇〇ペイのアプリの「送る」ボタンを押してしまうのです。
再び「送る」ボタンを押すよう指示されましたが、おかしいと思い確認したところ、2万円を送金したことに。
国民生活センターにも同種の相談が継続的に寄せられています。手口もよくわかる内容ですので、読んでくださいね。
・ネットショッピング「欠品のため〇〇ペイで返金します」詐欺に引き続きご注意を!
電子マネーを悪用した返金詐欺手口
QRコード決済悪用型
こちらは比較的シンプルです。犯人が「返金用QRコードです」と説明してQRコードを送ります。
被害者が読み込むと実際には
- ・PayPay送金
- ・個人間送金
- ・支払い画面
が開きます。そして「返金額を入力してください」と言われ、5,000円を入力→5,000円送金してしまう。
画面共有・遠隔誘導型
犯人は
- ・LINE友だち追加
- ・LINE通話
- ・ビデオ通話
- ・画面共有
へ誘導します。
そして被害者の画面をリアルタイムで見ながら、「ここを押してください」「次へ進んでください」「4999と入力してください」「送金を押してください」など細かく指示します。
被害者は「返金手続きだから言われた通りやろう」と思ってしまいますよね。
実際には組み合わせて使われる
LINEで返金窓口を装う→PayPayで返金すると説明する→返金できないと演出する→電話へ移行する→画面共有させる→QRコードを読み込ませる→送金させる
という流れが多く、QRコード決済悪用型と画面共有型は、組み合わせて使われることが非常に多い。
詐欺師があなたに仕掛ける心理操作
「なぜ送金ボタンを押してしまうの?」「なぜ犯人の言うなりになってしまうの?」と不思議に思えるかもしれませんが、犯人が仕掛ける心理誘導を紐解くとよく分かります。
詐欺師は、被害者の無知につけ込んでいるのではありません。
被害者の真面目さや責任感、他人に迷惑をかけたくないという感情を人質にとってハッキングしているのです。
冒頭で逮捕者が出たと書きましたが、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の関与を視野に入れて捜査しているとのこと。
犯罪グループによるものなら、こうした心理誘導もマニュアル化されている可能性が高いですね。
1️⃣権威への服従
被害者「画面に送金って書いてありますけど、大丈夫ですか?」
犯人「はい、画面上はそう表示されてしまいますが、これは当社の返金システムと連携するためのテスト画面ですので、実際にお金が引き落とされることは絶対にありません。ご安心ください」
スマホ決済やITの仕組みは、一般の消費者にとって中身がよく分からないものです。
専門用語や「仕様」という言葉を出されると、被害者は「自分の知識不足のせいで、ITの世界ではそういう複雑な処理があるのかもしれない」と、自分の直感よりもプロの言葉を信じ込んでしまいます。
警察庁の調査でも、権威に対する服従的な傾向は、詐欺を見破れた人と被害に遭った人を分ける要因として確認されています。
アプリの画面に「送金」「支払」と表示されているなら、スマホはあなたに「今、お金が奪われようとしていますよ!」と必死に警告してくれているのです。
どんなに親切な人の言葉よりも、画面に表示されている文字だけを信用してください。
2️⃣認知のすり替え
「画面には送金と表示されますが、これは同期という意味ですので、そのまま確定を押してください」などと、先回りして言い訳をします。
人間は焦りやパニック状態にあるとき、目の前の複雑な文字を読んで論理的に考えるよりも、耳から入ってくる「優しく、明快な指示」に依存したくなる特性があります。
犯人の言葉を信じるあまり、脳が勝手に「送金ボタン=手続き完了ボタン」と認知を書き換えてしまうのです。
3️⃣時間的プレッシャー
被害者「うーん・・・一度電話を切って確認してもいいですか?」
犯人「今切られてしまうと、回線が切断されて現在の返金コードが無効になってしまいます。
そうなると、データの修復に数週間かかりますし、最悪の場合、返金口座がロックされて二度と返金できなくなりますが、よろしいですか?」
人間は時間に追われると、脳の論理的思考力が著しく低下します。
締め切り圧力がかかると判断が雑になることは心理学の研究でも示されていて、考えるモードから反応するモードに切り替わってしまうのです。
さらに、すでに何度もエラーを経験させられてヘトヘトになっているため、「これまでの時間と苦労を無駄にしたくない」というサンクコスト効果が働き、「怪しいけど、もう言われるがまま進めて終わらせたい」という思考放棄に追い込まれます。
本当の企業であれば、システムトラブルで一度電話が切れたとしても、後から必ずやり直せますよね。
4️⃣お返しをしなければ
人から何かを与えられると、それに対して「お返しをしなければ」という心理的な負債感が生まれます。
それを犯人は利用するのです。
最初は非常に丁寧で、被害者のために親身になって時間を割いているように演じます。
じっくり時間をかけてやり取りをすることで、被害者の心に無意識の負債感が生まれます。
「ここまで親切にしてもらったのに、今さら疑うのは申し訳ない」という感覚が、画面に表示されている文字への違和感から目をそらしてしまうのです。
5️⃣コミットメントと一貫性
コミットメントとは?
ビジネスシーンでは、目標や成果に対して「必ず達成するという強い約束」として使われ、「結果を出す」といったイメージが強いですが、心理学では一度選んだ立場や行動を守ろうとする心理を指します。
被害者はLINEの友だち登録、通話への応対、最初の数回の入力操作などをさせられています。
知らないうちに、小さな「同意」を何度も重ねていることになるんですね。
人間は一度行動を起こすと、それまでの自分の判断と一貫性を保ちたくなる心理が働く。
そのため、途中で「おかしいかも」と思っても、「今さらやめたら、これまでの自分の判断が間違っていたと認めることになる」という抵抗感が生まれ、最後まで突き進んでしまうのです。
6️⃣良心のハッキング
被害者「本当に大丈夫なんですか? 詐欺じゃないですか?」
犯人「失礼ですが、こちらは会社として誠心誠意、返金対応させていただいております。お客様が指示に従っていただけないと、これ以上手続きを進められません。これまでのエラーも、お客様の操作ミスが原因の可能性が高いのですが……」
逆ギレ気味に、あるいは困惑したプロのトーンで話すことで、被害者に「疑って申し訳ない」「自分のせいで迷惑をかけているのかな」という罪悪感を持たせ、従順にさせようとします。
日本人の「誠実な人間でありたい」「他人に理不尽な迷惑をかけたくない」という真面目な国民性を悪用した手口。
被害者は「自分が失礼なことを言って相手を怒らせてしまった。早く機嫌を直してもらって手続きを進めなきゃ」という不条理な罪悪感を持たされ、主導権を完全に握られてしまいます。
電子マネー返金詐欺に遭わないための対策
返金詐欺の入り口は偽ショッピングサイトです。大手なら公式サイトやアプリからアクセスすれば、偽物に引っかかることはありません。
まずは偽ショッピングサイトに騙されないこと、そして電子マネーでの返金は詐欺に遇うと覚えておきましょう。
偽ショッピングサイトを見破るチェックポイント
被害の起点は、ほとんどの場合がネットショッピングです。
Web広告やSNSから偽のショッピングサイトに誘導され、支払いや返金を理由にPayPay残高を送らせたり、不審なアプリをダウンロードさせたり、アカウント情報を盗み取られたりする事案がPayPay側からも報告されています。
注文した時点では正規のショップだと思い込んでいるケースが大半なため、その後の返金も信じてしまうというわけですね。
偽サイトは実在するショップの画像や説明文を丸ごとコピペしているため、見た目はおしゃれで一見本物に見えます。しかし、以下の箇所に必ずボロが出ます。
相場より不自然に安い
「全品半額」「市場最安値」「本日限定 70%OFF」など破格の値段がついています。
欲しい商品を見つけたら、すぐにそのサイトで買わず、一度「商品名」や「ショップ名」で検索し、他店の一般的な相場と比較してください。
相場が分かりにくい商品は狙われやすい
生花の宅配やギフト商品など、相場が一般に知られていない商品を扱う使い捨て型のサイトにも注意してください。
大手ブランドを模倣するわけではなく、誰の名前も騙らない単独店舗として現れます。
母の日や年末年始など需要が集中する時期に検索結果や広告から流入を集め、売れるだけ売ったら閉鎖する前提で運営されています。
「聞いたことのないショップだけど、なんとなく良さそうだから」という油断が一番危険です。
商品画像が不自然
こうした使い捨て型のサイトは、デザインを別の商材用のテンプレートからそのまま流用していることが多い。
画像枠のサイズと実際の商品写真が合っていないため、写真が不自然に伸びたり潰れたりして表示されます。
今のECサイトでここまで見た目が雑なものは少ないので、逆に分かりやすい目印になります。
ロゴが本物っぽいかより画像が変に伸びていないかなら、誰でも気づけるポイントですね。
ドメインの末尾が見慣れない英数字
公式サイトでよく使われる「.jp」や「.co.jp」「.com」ではなく、「.xyz」「.top」「.bid」「.live」といった、誰でも格安で大量取得できるドメインが使われているケースが非常に多いです。
また、URLの文字列自体が意味のない英数字の羅列になっていることもあります。
スマホの画面上部にあるURL(アドレスバー)を必ず確認する癖をつけましょう。
不自然な表現やフォントの違和感
サイト内の文章や、購入手続きの画面に、日本人が使わない不自然な表現が混ざっています。
例えば「特別の価格」「当店は一新的な製品を販売し」など。
また、日本のパソコンやスマホではあまり見かけない、中国語圏などで使われる漢字のフォントが混ざっていることもあります。
「カード可」とあるのに、実際は「銀行振込」だけ
サイトのトップページやフッターには「各種クレジットカード対応」「代金引換」「〇〇Pay対応」とロゴマークが並んでいるのに、いざ注文画面に進むと「システムメンテナンス中」などの理由で、銀行振込しか選択できないようになっています。
さらに、指定される振込先が「個人名義の口座(特に外国人名義)」や、ショップ名とは全く関係のない企業名義の口座になっていることも。
住所が存在しない、連絡先がフリーメール
特定商取引法で義務付けられている「会社概要」や「特定商取引法に基づく表記」のページを確認すると、以下のような不審点があります。
住所をGoogleマップ等で検索すると、ただの空き地や一般的な一軒家、海外の住所になっている。
電話番号の記載がない、または現在使われていない番号。
問い合わせ用のメールアドレスが「@gmail.com」や「@yahoo.co.jp」などのフリーメールになっている。
返金詐欺被害を防げる3つのポイント
どれだけ言葉巧みに誘導されても、次の3つのどこか一つで踏みとどまれば被害は防げます。
〇〇Payで返金
「返金」なのに「〇〇Pay」と言われたら、その時点でやり取りを即座にやめましょう。
まともな企業が、ネット通販やサービスの返金を「コード決済(PayPayなど)の個人間送金機能」だけで行うことは絶対にありません。
「返金は〇〇Payのみ」と言われた時点で100%詐欺と断定し、それ以上相手にしない。LINEならブロックし、接続を絶ちましょう。
操作させようとする
スマホの「金額入力欄」に数字を打つ、または「送金」ボタンを押す指示はすべて拒否。
電子マネーアプリにおいて、あなたが数字(金額)を入力する画面、および「送る」「支払う」「送金」と書かれたボタンは、「あなたの財布からお金が出ていく手続き」です。
これを忘れなければ電子マネーによる返金詐欺を防げます。
相手が「これは返金手続きの認証コード(処理番号)です」「金額が表示されますが確認画面なので減りません」などと、どんなに言い訳をしてきても、画面に書かれている文字「送金」や「支払」の方を信用してくださいね。 絶対に指示された通りに操作しないで。
画面共有や別アカウントへの移動
お金のやり取りの最中に「画面共有」や「別アカウントへの移動」を求められたら即遮断する。
正規のカスタマーサポートが、お客様の決済画面や銀行残高を覗き見ること(画面共有)は絶対にありません。
また、「エラーが起きたから別のLINEアカウントへ」というのも、警察やプラットフォームの監視から逃れるための詐欺師の常套句です。
スマホの画面共有を求められたり、別の窓口を案内されたりしたら、「自分のせいでエラーが出たのかな?」と罪悪感を持たずに、その場で通話を切ってください。
そもそも、話の途中で「あれ、おかしいな」と思った時点で、電話やLINE通話を切ってしまって構いません。
正規の手続きであれば、一旦切って後から確認しても何の不利益も生じません。
「待って」「切らないで」「今切ると無効になります」と相手が引き留めようとすること自体が、最も分かりやすい詐欺のサイン。違和感を覚えたら、、いつでも通話を切って良い、接続を絶っていいのだと覚えておいてください。
最後に。
「電話でお金は詐欺」のように「〇〇Payで返金は詐欺」で、ここをご覧のあなたも、周りの人たちと情報共有してくださいね。
