保証人紹介ビジネスでどんなトラブルがあるのか?トラブルに遭わないための対策は?

あなたは保証人紹介ビジネスご存じですか?
例えば、お金を借りる、部屋を借りる、雇用契約を結ぶなど連帯保証人・身元保証人が必要な場合があります

保証人紹介サービスでよくあるトラブル

通常なら、家族が保証人になることが殆どですよね
しかし、天涯孤独な方はもちろん、家族と疎遠だったり、現代社会の歪みや様々な事情から保証人を立てられない人が増えています

保証人がいない=非常に困った事態に陥ってしまいます
そんな方々の為に「保証人を紹介しますよ」といったビジネスがあるんです
しかしトラブルが多く、国民生活センターから注意喚起がなされています

独立行政法人国民生活センターPDF
保証人紹介ビジネス

・保証人紹介ビジネスのトラブルにご注意!
インターネットを通じて保証人紹介業者(以下「紹介業者」という)に申し込みをしたところ、
「保証人を紹介されなかった」「キャンセルを申し出たら拒否された」といったトラブルが増加傾向にある
また、保証人として紹介業者に名義登録をすれば報酬を得られるということで名義を登録したところ、多額の債務を負わされてしまったというトラブルもある

保証人紹介サービス、保証人紹介会社、など呼び方はいくつかあります
保証人紹介サービスでどんなトラブルが多いのか見ていきます

相互保証
相互保証とは「あなたの保証人に私がなりますが、あなたも私の保証人になってください」と、保証人が必要な人同士が互いに保証人になる方法です
相互保証は、紹介してもらう場合の金額が低いという特徴があります

多くの場合、相互保証について詳しい説明のないまま保証人を紹介されトラブルになります
保証人を紹介してほしくて保証人紹介サイトに登録したわけで、誰かのしかも赤の他人の保証人になんてなるつもりは全くなかったといったことです

  • ・相互保証であることの記載がなかった
  • ・自分も紹介された保証人の保証人になることが条件になっていた
  • ・相互保証であることは記載も説明もなかったので、解約を申し出たら解約を拒否された

高額なキャンセル料
相互保証であることを知らなかったので解約することにしたら、高額なキャンセル料を請求されてしまう

更新料
退会したはずなのに1年後、更新料の請求が来たので「退会している」と連絡したにもかかわらず、更に1年後、また更新料の請求が来たといったケースもあります

登録料
登録料を払ったら、その後あまりに音沙汰なしなので連絡すると電話が繋がらなかったといった、正に悪徳業者の常套手段で被害を受けた人もいます
この手の「登録詐欺」とでも言いましょうか、実は被害が一番多いのではと思います
元々保証人を紹介するつもりなどなく、金額もボッタくりと思うような所で1~5万円位なので、当然泣寝入りが多く悪徳業者もそれを見越しています

紹介料
登録料とは別に、保証人1人につき5~10万円くらいの紹介料を支払いを要求される

個人情報の悪用
登録時に得た個人情報をもとに、解約料や更新料を名目とする金銭の請求があとを絶たないといった相談などの他、別の保証人サイトからの案内が来るなど
保証人紹介サービスに限ったことではありません
様々なジャンルの悪徳業者は、個人情報を収集・利用し、売買します

保証人紹介サービス増加の背景

保証人紹介サービスがこれ程増えた理由には大きく二つあると思います

時代背景
天涯孤独な方はもちろん、家族と疎遠だったり、現代社会の歪みや様々な事情から保証人を立てられない人が増えています
若い世代は独身でいることが長くなり、身内は両親だけという人も珍しくないことです
「両親を連帯保証人にするつもりでいたのに、年金暮らしで認められない」といったケースが、一番焦るのではないでしょうか
高齢化時代となり「独居老人」という言葉が今の時代を顕著に示しています

就労に関しては、非正規雇用が増加すると転職も多くなりますから、転職する度保証人が必要になります
また外国人労働者の増加もあるでしょう
日本語もまだままならない内に、住む場所や働き口を探さなければなりません
悪徳業者にとってこれほどのカモはいないのは、容易に想像できます

そして、いざ部屋を借りようと思ったら、融資を受けることになったら、就労することになったら、必ずセットで付いてくるのが保証人です
多くの人は、特に何か問題を起こすこともなく過ごしているでしょうが、その反面やはり不景気は厳しいですね
家賃の滞納、夜逃げ、自殺・・・「何かあった時のため」に益々保証人が必要とされる時代なのではないでしょうか

誰にでもでき儲かる
保証人紹介・代行する業務は正確には債務保証業といいますが、業者を取り締まる法律も規制もなく、許認可も不要です
免許や資格も不要です
ある意味、「誰でも、すぐに始められるビジネス」と言えるのです

トラブルに巻き込まれない為にも「死んでも他人の保証人になんかなるな!」とよく言われますよね
そんなリスクがある保証人に赤の他人がなる、これ自体実に不可思議な話なはず
しかし、他人がやらないことをやったりする、いわゆるスキマビジネスの類は当たればデカイ、巨額の利益を生むのです
リスクが生じても、何ら問題ない収益を得られるよう、それに見合ったシステムを作れば良いわけですから

一例を挙げると
登録料 1~5万円
部屋を借りる際の保証人 保証料 家賃0.6ヵ月分
就職に関しての場合 職種により3万~4万円

紹介料や更新料も必要なサービスが殆どを占める印象で、儲かるシステムが構築されています
後発程、言い方は悪いけど猿真似でOKなのですから

「保証人紹介」と検索ワードを打ち込めば、保証人を紹介してくれる会社がズラッと出てきますので、興味のある方は覗いて見てください
ズラッと出てくる会社の果たして何パーセントが、まともな会社なのでしょうね

被害に遇わないために

では保証人紹介で被害に遇わないためには、どうすれば良いのでしょうか
「賃貸アパートを借りたい」ということで例を挙げていきます

保証人とは何か?
「保証人」と聞くと良いイメージを抱かない方は多いのではないでしょうか
お金を借りている本人と連絡がつかなくなったと取り立て屋が乗り込んできたみたいな、引き受けてはならないもの
私も親や祖父母から「絶対になるな、何かあったらあんたが大変な目に遭うのだから」とよく言われていました

保証人に対する先入観があると、頼む側は頼みにくくなり、頼まれた側は了承しにくくなるものです
実際には、滅多なことでは保証人に迷惑は掛からないことを改めて考えてみてはいかがでしょう
健康面などに特段心配がないとか、事故や病気の際の入院特約付きの生命保険に加入しているとかなら、保証人に迷惑を掛ける確率はかなり下がるのでは?

保証人なしで借りる
「賃貸 保証人なし」で検索してみてください
希望条件を下げて、多少不便な物件でも保証人なしを条件に探すのが一番だとは思います

UR賃貸住宅にする
収入もしくは貯蓄が一定の基準に達しているなど条件付きになりますが、UR賃貸住宅を利用すれば、保証人なしで借りることができます
収入や貯蓄額が基準に達してさえいれば、保証人だけでなく、礼金や仲介手数料、更新料が不要というメリットもあります

保証人紹介サービスを利用する場合
架空の人物を保証人として紹介されないためには、必ず保証会社に印鑑証明書を送付させることを条件とする
印鑑証明書は、保証契約の基本です
印鑑証明書を準備できない場合、その会社は架空の人物を紹介することになります

登録料・入会金などの前金がなく、保証人を紹介出来た時点で料金が発生する「成功報酬型」の契約をする会社を選ぶ
といったことがありますが、おそらくそういった会社は少ないと思います
保証人紹介サービスはトラブルが絶えませんので、オススメしません

家賃保証会社を利用する

保証会社が保証人の役割をするので、保証人を立てられなくても賃貸借契約ができます
家賃保証会社を利用して契約する賃貸物件不動産賃貸契約の6割で利用されているとも言われています
保証会社を利用すると、もし入居者が家賃を滞納した場合でも保証会社が家賃を立て替えて支払うため、大家や不動産管理会社には、確実に家賃が振り込まれるようになります

ただ、保証会社は物件によって異なり、自分で選べるわけではありません
保証会社と契約を結んでいる管理物件を選ぶ必要があります

連帯保証人は不要になりますが、初回保証料と更新料
契約時に家賃の0.3カ月~1カ月分、もしくは数万円などの固定額を家賃保証会社に支払う必要があります
保証会社を利用するにしても、やはりそれなりの経費は掛かってしまいます

場合によっては、家賃保証会社と契約しても、更に連帯保証人を求められることもあります
保証人の有無、家賃保証会社の利用などは大家さんが自由に決められるので、条件に合う物件を根気よく探すしかありません

家賃保証会社は、2017年10月2日にその「登録規程」が公布され、10月25日には登録申請の受付が始まっています
登録そのものは任意で、登録された家賃債務保証業者が遵守すべきルールとして定められています
資格制度はありません

出来れば登録済の家賃保証会社が良いでしょうが、家賃保証会社は大家さんや不動産会社が決めることなので、自分で選ぶことが出来ません
どの家賃保証会社と提携しているのかがわかったら、ネットでクチコミなど調べてみるといいかも

保証会社には、大きく分けて4種類あります

信販系保証会社
初期費用が無しが多い
元々クレジットカードを発行している会社のことで、お過去にカード事故を起こしたかどうかの情報を持っています
そのため、カード事故を起こしたことがある場合、また滞納する可能性も高いと考えられて、審査に落ちてしまう場合がほとんどです
ちなみに事故(滞納や自己破産等)歴は完済から約5〜7年で消えます

全国賃貸保証業協会(LICC)
賃貸住宅の賃料支払い情報のデータベース化を推進
LICCに加入している別の保証会社を利用した事がある人はデータが参照されるのもあり、加盟店はほぼ、同等レベルの審査基準

賃貸保証機構(LGO)
データベースの共有はないので、各会社の独自審査になります

独立系保証会社
どこにも属さないので独立系と呼ばれる
審査が甘い会社がある反面、評判の悪い会社もあるので注意が必要

独立系の保証会社は、信販系とは違って過去の滞納歴などの情報を持っていないので、信販系よりも審査に通りやすい一面があります
ただ、審査のゆるい保証会社はやはり、入居者が支払う保証料金額が高くなります

賃貸以外での保証人について

上でも書いたように、保証人に対する先入観があると、頼む側は頼みにくくなり、頼まれた側は了承しにくくなるものです
保証人を立てる対象によって、「保証人が何故必要なのか」に違いがあることや、滅多なことでは保証人に迷惑は掛からないこと改めて考えてみましょう

ローンの場合
住宅ローンは借入額も大きくなりますから、信用力のある人を保証人として立てることが融資の条件になっていることが多いですね
カードローンの場合は手軽に利用できるよう、「原則として保証人不要」が殆どです

保証会社の多くは、借入をする銀行と提携している保証会社になると思います
中小企業の保証会社、大手銀行グループの保証会社、クレジットカード会社の保証会社といったように保証会社は様々あります

就労の場合
保証人と聞くとイメージが悪く、誤解もあるかもしれません
「しっかりと会社のルールを守って働くことを保証する役割」なので、本人が真面目に働けば何の問題ないのです

連帯保証人のように債務があればすべて肩代わりをするのとは違い、会社にとって不誠実な損害を与えてしまった場合に責任を負うことになります
期間も限られていて、身元保証人でいるのは3~5年です
親族でなくても、知人が保証してくれるのであれば大丈夫です

入院の場合
保証人が必要な理由の一つは「お金の支払いができるかどうか」です
支払いさえ滞りなくできるのであれば、保証人を立ててもその人に迷惑がかかることは一切ありませんよね
また、入院特約付きの生命保険に加入している方も多いと思います
命にかかわる場合ならともかく、迷惑は決してかけないからと、頼める人はいませんか?

保証人を立てられない場合は、病院が規定する保証料などを負担することで、保証人がいなくとも入院ができる病院があります

入院する病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)へ相談してみるのも方法のひとつでしょう
保証人のことだけでなく、不安なことはソーシャルワーカーに聞いてもらってください
他には高齢者向けのものが多いですが、おひとり様支援的なNPO団体もあります

厚生労働省は身元保証人がいないことだけを理由に入院を拒否するのは、正当な理由なく診療を拒んではならないと定める医師法に違反するとして、こうした対応を取らないよう全国の都道府県などに通知しました
こちらは厚生労働省から各機関に配布されたPDFファイルです

全日本病院協会 医療行政情報
・身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて

医療機関も高齢者向けの施設も、滞った際の費用の支払いは勿論、遺体・遺品の引き取りなども確かにと思うものです
本人が遺言書なりを残し、そこに遺品の整理についても言及していてくれたなら、対応もしやすくなりますが・・・
身元保証人云々もですが、まだ先のことと思わずに「終活」を考えるのは自分の為でなく、周囲の人への気遣いでもあるのだと改めて思い、考えさせられました
明日自分の命があるのか誰も知らないし、わからないのです

生活困窮者自立支援制度
平成27年4月から、厚生労働省の生活困窮者自立支援制度が始まりました
働きたくとも働けない人や、住む場所がない人に向け、全国に相談窓口が設置されています
また、仕事を辞めたことで住む場所を失うおそれのある人には、最大で9ヶ月分、家賃の一部を支給しています

生活や仕事でお困りの方、まずは窓口までご相談を。
→相談窓口一覧(全国901か所)
◆ 厚生労働省/生活困窮者自立支援制度/制度の紹介

記事を書いて感じたこと

随分前に書いた「身元保証人代行サービス」に関する記事をリライトしました
以前はあまり掘り下げずに書いていたのもあって、「げー、身元保証人代行サービスって儲かるじゃん、めっちゃグレーゾーンやん」位の感想でした
当時は出会い系業者以外の悪徳業者について書きたかったんですね

今回は一言でいうなら「寂しい気持ちになった」

私は自分の家族とは疎遠で、いざという時に頼りになるのは主人しかいません
ですから保証人がいないとかって、他人事ではないのです
保証人がいないって本当に切実で、私も随分前ですが部屋を借りるのに、知人に頼んだ経験があります

格差社会だから仕方がないといえばそれまでだし、実際にそうだから本当に仕方ないんだよね
何をするにもお金
高齢者向けのサービスが凄く増えたなって思いますが、お金ないとそうそう利用できないもんね
国もさ生活困窮者自立支援制度とか作るのはいいんだよ
それで救われる人は少なからずいるのだし

ただ、うまく言えないけど、その狭間で苦しむ人達が多いでしょ
働ける健康状態なんだけど、働いても働いても生活するのがもうギリギリで、何の贅沢も出来ない、する暇もない
昨今なら奨学金の返済が足枷になってるとかね
生きることがそのまま苦しみでしかないのなんて、おかしいよね