災害時のデマをどう見抜く?LINE・生成AI時代に「拡散しない」という選択

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災害が起きると、SNSには一気に大量の情報が流れ込みます。

「〇〇地区で火災が起きている」「誰かが取り残されている」。
本当に困っている人がいるかもしれないと思えば、「早く知らせなきゃ」と共有したくなるのも当然です。

しかし、その情報がデマだったらどうでしょうか。

しかも今は、X(旧Twitter)だけでなく、家族や友人とのLINEを通じてデマが広がることもあります。
生成AIによって、偽の画像や動画が作られたり、AI自身が情報の真偽を誤って判断したりするケースも出てきました。

災害時は、普段ならできる「ちょっと待って、本当かな?」という確認が難しくなります。
すべてのデマを見抜こうとするのではなく、確信が持てない情報を拡散しないことが大切。

この記事では、災害デマが広がる理由と、LINEや生成AI時代の情報との向き合い方を解説します。

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なぜ災害時はデマが広がりやすいのか

平時のデマに比べ、災害時のデマは特に広がりやすい条件がそろいます。

発災直後は情報が足りない状態が続きます。
公式発表が追いつかない空白の時間に、デマが流れ込んでくる。しかも強い不安や恐怖の中では、人は検証よりも共有を優先しがちになります。

これは、詐欺でも見られる「冷静に情報を確かめる余裕がなくなる」という状態と、よく似ています。
詐欺の被害者が「その場では信じてしまった」と語るとき、そこには平時なら疑えたはずの情報を、極限状態だからこそ信じてしまう心理があります。

詐欺では「お金をもうけられる」という話に反応し、災害時には「誰かを助けなければ」という情報に反応する。
きっかけは違っても、冷静に確かめる前に信じてしまうという点では、よく似ています。

平時
情報を吟味する認知的な余裕がある → 検証プロセスが機能する

発災直後
恐怖や不安で頭がいっぱいになる → 情報を一つひとつ確認する余裕がなくなり、感情に訴える情報をそのまま信じてしまいやすい

そして、デマの多くは悪意からではなく、善意から広がる場合もあります。「早く知らせなきゃ」という利他的な動機が、結果的に誤情報を増幅させてしまう。
ここに、災害時デマ対策の難しさがあります。

LINEは見落としがちな拡散経路

LINEが災害デマ拡散につながることもある

災害デマというと公式SNS周りの話に目が行きがちですよね。
しかし、大きな拡散経路になっているのが、家族や友人間のLINEグループです。
いまやインフラと呼べるほど、利用者が多く、利用頻度も高い媒体。

X(旧Twitter)であれば、多少なりとも「これはデマかもしれない」と身構える人が多いと思うんですね。
LINEの家族・友人グループになると、「知り合いが送ってきたから」というだけで、信頼のハードルが一気に下がってしまうのではないでしょうか。

知らない人からの情報は疑うのに、親しい人からの情報は無条件で信じてしまう。

普段からやり取りしている相手だと、それだけで「この人なら間違った情報は送ってこないだろう」と思ってしまいます。
実際にはその相手も、また別の誰かからの又聞きかもしれないのに。

しかも、仲の良い相手から送られてくると、「それ、本当?」と確認すること自体に少し抵抗がありますよね。
「せっかく教えてくれたのに疑うのも悪い」と感じて、そのまま信じてしまうこともあるでしょう。

こうしたことは、詐欺でも起こります。「友人から紹介された」「知り合いがやっている」と聞いただけで、最初から警戒心が弱くなってしまうケースです。
「誰が送ってきたか」を見て安心してしまい、「本当に正しい情報なのか」まで確認しなくなってしまう。

さらに、LINEのグループチャットは基本的に外部から見えない閉じた空間です。
X上であれば機能するコミュニティノートやプラットフォームのモニタリングも、LINEのグループには届きません。

「友達内だけのつもり」で送った動画や画像が外部にまで転送され、送った本人の想定を超えて広がっていく。
一度手元のグループを離れてしまうと、誰が最初の発信者で、いつの情報なのかも分からなくなっていきます。

家族が心配だからと「善意」でスクリーンショットや動画をそのまま転送し、結果的に家族内でデマが増幅されていくケースも少なくありません。

例えば、避難所の混雑や物資不足を伝える画像・動画が、実際とは違う年・違う場所のものなのに「今、大変なことになっている」というキャプション付きで回ってくる、といったパターンです。

「〇〇地区で断水した」「〇〇でガス漏れ」といった未確認情報が誰かの体験談として家族LINEに流れ、心配した親族が「念のため」と他の親戚グループにもそのまま転送してしまうケースもあります。

家族間であっても、スクリーンショットや動画そのものを転送するのではなく、一次情報のリンクを共有することをルールにしておく。
「誰から来た情報か」ではなく「情報自体に一次ソースがあるか」を、毎回切り離して判断する習慣が必要です。

デマ情報確認リスト

発信元の一次性を確認する
気象庁・自治体・警察消防・主要報道・主要通信社(共同・時事)が直接発表しているか。
「〇〇関係者によると」「友人が現地から」といった伝聞が入っている情報は、信頼度が一段下がると考えましょう。

時系列・場所のズレを疑う
災害デマで最も多いパターンの一つが、過去の災害映像・画像の使い回しです。
投稿日時だけでなく、動画・画像自体がいつ・どこで撮られたものかを別途疑いましょう。

複数ソースでの裏取りを習慣化する
「気象庁+自治体+主要報道」の三点セットで確認するのが現実的です。
1つの投稿・1つの検証機関だけに依存しない。ファクトチェック機関も速報性では後手に回り、完全ではない場合があります。

感情が動いた瞬間こそ一呼吸置く
「怖い」「許せない」「今すぐ助けなきゃ」と感じた瞬間が、まさにデマが最も拡散しやすいタイミングです。
シェアする前に「これは確信を持てる情報か」と自問しましょう。

族・友人からの情報も一次ソースを切り離して見る
親しい相手からの情報だからこそ、無条件に信じていないか意識する。転送する前に、元の情報源を必ず確認する。

画像や動画の見た目だけで判断しない
生成AIによって、画像や動画を見ただけで本物か偽物か判断するのは難しくなっています。
「どこか不自然」という感覚だけに頼らず、発信元や撮影日時、場所などを確認しましょう。

平時に備えを
「いざという時のために」という使い古された言葉がありますが、災害大国となってしまった日本に必要な言葉ですね。
緊急時は中々冷静にはなれないものです。

緊急地震速報のアラートが鳴るだけで、私は正直心臓がバクバクします。
冷静に振る舞える平時に災害対策をしておいてください。

  • ・気象庁・自治体・警察消防の公式SNSを事前フォローしておく
  • ・日本ファクトチェックセンター(JFC)などの検証団体をブックマークしておく
  • ・「災害時は公式情報を優先する」という自分ルールを事前に決めておく
  • ・家族間でも「動画・画像はそのまま転送せず、一次情報のリンクを共有する」というルールを決めておく

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生成AI時代、災害デマはどう変わったのか

生成AI時代、災害デマはどう変わったのか図解

2016年の熊本地震で大きな問題になったのが、「動物園からライオンが逃げた」というデマです。
投稿は2万回以上リツイートされ、熊本市動植物園には100件を超える問い合わせが寄せられました。投稿者は後に偽計業務妨害の疑いで逮捕されています。

当時のデマは、事実ではない出来事を文章や画像で作り、それを広げるというものが中心でした。
ところが、2026年の熊本地震では少し様子が違います。

生成AIによる偽動画、過去の災害映像の使い回し、AIによる誤ったファクトチェック、さらにはQRコードを使った金銭要求まで登場。
つまり、「完全なウソを作る」だけがデマではなくなってきたのです。

本当の出来事にウソの情報を混ぜる

今回特に目立ったのが、実際に起きた出来事と、別の場所・別の時期の画像や動画を組み合わせる手口。

ITmedia NEWSの「生成AIで巧妙化するデマ──熊本地震で露見した『10年前にはなかった新たな手法』識者に聞く」(2026年8月18日)では、2026年7月28日に発生した熊本地震を例に、こうした新しい傾向が紹介されています。

例えば、「イオンモール熊本、地震で爆発」という投稿では、別の商業施設を撮影した2024年の能登半島地震の映像が使われていました。
映像そのものは本物。しかし、「いつ・どこで撮影された映像なのか」という部分がウソだったわけです。

このタイプのデマは、完全な作り話よりも見抜きにくいのでは?と感じます。

生成AIがデマを見抜けるとは限らない

もう一つ注意したいのが、生成AIによる誤ったファクトチェックです。

ある店舗の被害状況を撮影した投稿について、X上でAI「Grok」に確認を求めたところ、「2016年の映像だ」と誤って判定されたケースがありました。
しかし、その店舗は2016年にはまだ存在していませんでした。

生成AIは、必ずしも最新の事実を確認してから回答しているわけではありません。
もっともらしい説明を返してくれても、それ自体が一次情報になるわけではありません。

しかも、「AIがこれはデマだと判定した」という情報が、今度は人間によってSNSで拡散される可能性があります。

デマを作る側だけでなく、デマを見抜こうとする側でもAIが間違える。

これも、生成AI時代ならではの注意点ですね。

「助けてほしい」が金銭要求につながることも

災害に便乗した金銭要求にも、新しい形が登場しています。
被災者やその家族を装い、QRコード決済アプリのコードを投稿して、個人への送金を呼びかける手口です。

ある店舗の従業員が家屋の下敷きになって死亡したという虚偽の投稿では、同情した人から実際に送金が行われました。
しかし、店舗側が「そのような従業員はいない」と指摘したことで、ウソだったことが判明。

以前なら、金銭をだまし取るには銀行口座などを用意する必要がありました。
今はQRコードを表示するだけで送金を呼びかけられますよね。

「かわいそうだから助けたい」という気持ちが、そのまま金銭被害につながる可能性があるのです。

愉快犯だけではなく、お金目的のデマも

2016年の「ライオンが逃げた」というデマは、悪ふざけが大きな問題になった典型例でした。

一方、現在はインプレッション報酬を狙った投稿や、直接送金を求める投稿など、最初からお金を得ることを目的としたデマも考えなければなりません。

さらに、生成AIを使えば画像や動画を作るハードルも下がっています。
デマを作る側にとっても、以前より少ない手間で「それらしく見える情報」を作れる環境になっています。

災害デマは全部ウソとは限らない

ここまでの例から分かるのは、最近の災害デマは「100%ウソの話」だけではないということ。

以前のデマ 現在のデマ
存在しない出来事を作る 実際の出来事に偽情報を混ぜる
ウソの文章を広げる 本物の画像・動画を別の出来事に使う
人間が真偽を判断する AIによる誤判定も加わる
悪ふざけが中心 広告収入や送金など金銭目的もある

「この画像は本物っぽい」「AIが偽物と言っている」といった、一つの判断材料だけで決めつけるのは危険。
重要なのは、情報そのものだけでなく、「誰が、いつ、どこから発信した情報なのか」を確認することです。

そして、確信が持てないなら絶対に拡散しない。これが、生成AI時代の災害デマ対策で最もシンプルなルール。

すべてのデマを見抜けるようになる必要はありません。
迷ったときに「いったん止めておこう」と判断できるだけでも、拡散を防ぐことにつながります。

この原則は公式SNSの投稿だけでなく、信頼している家族や友人からの情報にも、同じように適用してくださいね。

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