Terra/Luna事件|数学的に証明済みが2週間で紙くずになった日

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Terra/Luna事件数学的に証明済みが紙くずになった日

2025年12月、韓国人起業家Do Kwon(ド・クォン)はマンハッタンの連邦裁判所で禁錮15年の判決を受けました。
判事はこう断じる。「史上最大級、世代を超えた詐欺」だと。
事件が起きたのは、そのわずか3年前のことでした。

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Terra/Luna 事件とは

アルゴリズム型ステーブルコインの価格安定メカニズム

TerraはDo KwonとDaniel Shinが2018年に共同創業したTerraform Labsが開発したブロックチェーンプロトコルで、アルゴリズム型ステーブルコインを中核に据えたプロジェクト。

「アルゴリズム型ステーブルコイン」という点が従来型との決定的な違いで、USDT・USDCのように実際のドルや国債で裏付けられているのではなく、LUNA(変動トークン)とのアルゴリズムが自動で価格を1ドルに保つ仕組みでした。

Anchor Protocolと年利20%

年利約20%という高利回り

Terraエコシステム内で最も重要なプロジェクトがAnchor Protocolで、USTホルダーに対して年利約20%という高利回りを提供。
この年利を見ただけで「あり得ない、破綻する」と感じたあなたは正常な感覚の持ち主です。

崩壊直前、USTの流通量の約75%がAnchorに預け入れられていました。

この高利回りはTerraform LabsがUST普及を目的に補助金で賄っていたもので、Terra Network内の多くの関係者も「中長期的には持続不可能で段階的な縮小が必要」と認識していたんですよ。

批評家たちは当初からこの構造を問題視し、一部の識者は「巨大なポンジスキームになりかねない」と懸念を表明。
ありがちなことですが、部外者は当たり前の感覚で問題を指摘していたんですね。

スマート・ポンジスキーム(SPS)についてはこちらで詳しく解説しています。

スマート・ポンジスキーム(SPS)とは?Web3の透明性を悪用する4つの手口と対策

Do Kwon(ド・クォン)の人物像と詐欺的行為

Do Kwon自身は公の場で「暗号資産業界に参入する企業の95%は死ぬ運命にある。そしてその死を見守るのは娯楽だ」と発言。
そのわずか1週間後、自分のUSTが1ドルとの連動を失ったのです。

検察の主張によると、Kwonは単に欠陥のある金融商品を作ったのではなく、投資家に対しシステムの安全性について組織的に虚偽説明を行う。
また、ストレステスト済みで耐性があると偽り、デス・スパイラルリスクを指摘する批評家を「貧乏人」と嘲り続けたとのこと。

なんだかスゴイ人ですね。ドン引き。

崩壊のタイムライン

デス・スパイラルに陥る仕組み

2022年5月7日、Anchorが利回り引き下げに動こうとした直後、大口ウォレットが8,500万USTを別のステーブルコインに一斉に換えました。
同日、Curveでも大規模な売却が発生し、USTが1ドルのペッグから0.985ドルへと下落。

5月7日にCurve-3poolへの「流動性プール攻撃」が発生し、USTが0.99ドルを割り込む最初のデペッグ(1ドルとの連動崩れ)が起きます。
その後、Luna Foundation Guard(LFG)がBTC準備を切り崩して防衛に動き、一時0.995ドル付近まで回復しまたが、5月9日に再び大規模な売り圧力でペッグを完全に失うことに。

5月8日、Kwonは「落ち着け、資本を投入している(Steady lads, deploying more capital)」とTwitterに投稿し投資家を安心させようとしましたが、 もはや焼け石に水。
5月9日だけでAnchorに預けられていたUST140億ドルのうち35%にあたる50億USTが引き出されたのです。

この構造的崩壊が「デス・スパイラル」を招きます。USTのペッグを守るため、

  • 1USTを1ドル相当のLUNAと交換できる仕組みを逆用
  • 大量のLUNAが新規発行
  • LUNA価格がさらに暴落
  • 信頼が失われてさらにUSTが売られる

という悪循環に陥る結果に。

LUNAは4月の最高値116ドルから暴落し、5月9日に30ドル以下、5月11日には1ドル以下、5月13日には実質的にゼロに。
USTも最終的に0.02ドル前後に落ち着き、保有者は98%の損失を被る。総損失額は400億ドル超となりました。

連鎖被害

崩壊の余波は広範に及びます。
暗号資産レンディング大手のCelsius NetworkはTerraへのLUNAへの大規模エクスポージャー(大きな依存)が原因で出金を停止し、その後破産申請。大口ポジションを持っていたスリー・アローズ・キャピタルも崩壊します。

Do Kwonの逮捕と判決

2023年3月23日、Do Kwonはモンテネグロのポドゴリツァ空港でコスタリカの偽造旅券を使って出国しようとしたところを逮捕。
ベルギーの偽造旅行書類も所持していたそうです。
その後、マンハッタンの連邦大陪審が証券詐欺・商品詐欺・電信詐欺・共謀など8つの罪状で起訴。

Do Kwonは2024年8月に電信送金詐欺1件と、電信・証券・商品詐欺共謀1件の計2件の有罪答弁を行い、2025年12月にマンハッタン連邦裁判所で禁錮15年の判決を受ける。
検察の求刑(12年)を上回る異例の厳しい判決で、判事は「史上最大級、世代を超えた詐欺」と断じました。

被告(Terraform Labsとド・クウォン)が、数千億円規模の暗号資産(仮想通貨)に関連する証券詐欺を組織したとして提訴しました。
これには、ステーブルコインであったUST(TerraUSD)や、それに関連するLUNAなどが含まれます。

こちらの文書(pdf)は、2023年2月に米国証券取引委員会(SEC)が、テラフォーム・ラボ(Terraform Labs)とその創設者であるド・クウォン(Do Kwon)氏を提訴した際の公式な訴状です。

U.S. securitys and Exchange Commission
・Terraform Labs and Do Kwon (Court Filing)

Terra/Luna事件の顛末まとめ

観点 詳細
詐欺の核心 「アルゴリズム型」の脆弱性を知りながら「安全・数学的に証明済み」と虚偽説明
ポンジ要素 年利20%はTerraform Labsの自己資金補助で成立。持続不可能な構造
デス・スパイラル UST売り→LUNA大量発行→LUNA暴落→信頼喪失→UST売り の連鎖
被害規模 400億ドル超消失、数十万人の個人投資家が全財産を失うケースも
刑事責任 禁錮15年(2025年12月確定)

編集後記

禁錮15年の判決を受ける

実際に起きたSPS事件を調べると、SPSの手口そのものより、むしろ事件を起こした人物像のユニークさに目が行きます。、3AC(スリー・アローズ・キャピタル)事件のKyle Davies(カイル・デイヴィス)とSu Zhu(スー・ジュー)、Sam Bankman-Fried(FTX)事件のSam Bankman-Fried(通称SBF)、そしてこのTerra/Luna事件のDo Kwon(ド・クォン)も。

3AC(スリー・アローズ・キャピタル)事件|35億ドルを溶かし「刑務所は楽しかった」と言い放つ創業者たち

FTX崩壊の全貌とSam Bankman-Friedの末路|顧客資金80億ドルの行方

2022年5月、「数学的に証明済み」と豪語していたステーブルコインが2週間で紙くずになり、400億ドルが消えたTerra/Luna事件。

「暗号資産業界に参入する企業の95%は死ぬ運命にある。そしてその死を見守るのは娯楽だ」とDo Kwonは言い放ち、批判する相手を「貧乏人」と嘲り続けた人物。
他人を煽り嘲った挙句、たった一週間で、自分のUSTがペッグを失うこととなりました。

暗号資産業界に参入する企業の95%は死ぬと自らの運命を予言し、実際にDo Kwon自身が予言通りになった。とも言えますよね。
詐欺行為であると自認していたからの言葉なのかまではわかりませんが。

逃亡先のモンテネグロでは、プライベートジェットの機内でコスタリカの偽造旅券を持って摘発されます。
荷物の中にはベルギーの偽造身分証明書も隠されていました。
捕まったのは空港のVIPラウンジですよ?逃亡にしては、やけに堂々としている。

この辺りも人物像が垣間見えると思いませんか?

法廷では「偽造パスポートとは知らなかった。シンガポールの代理店を通じて購入した正規のゴールデンパスポートだと思っていた」と主張。裁判所は当然、却下しまた。
偽造パスポートだと知らないわけがないやろがいと突っ込みたくなりますね。

判決の場でDo Kwonは黄色い囚人服姿で着席し、裁判官から「史上最大かつ世代を超えた詐欺」と断じられたそうです。
煽り続けた男の末路としては、あまりにも絵になりすぎる。

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