FTX崩壊の全貌とSam Bankman-Friedの末路|顧客資金80億ドルの行方
公開日:
※当サイトはアフィリエイトプログラムを利用しています。
かつて「暗号資産界の救世主」と称えられ、320億ドル(約4.8兆円)もの時価総額を誇った取引所FTX。
しかし、その輝かしい看板の裏側では、私たちの想像を絶する顧客資金の流用が行われていたのです。
史上最悪、ガバナンス崩壊の全貌に迫る。
Sam Bankman-Fried(FTX)事件
FTXは2019年5月にSam Bankman-Fried(通称SBF)とGary Wang(ゲイリー・ワン)が共同創業した暗号資産取引所。
デリバティブやレバレッジ商品、NFTなどに特化し、急成長を遂げます。
2021年7月には時価総額190億ドル、2022年1月には320億ドルという評価を受け、SoftBank・Sequoia Capital(孫正義氏のソフトバンクグループ傘下の投資ファンド)など60社超から9億ドルの出資を受けました。
詐欺の構造FTXとAlameda Research
崩壊の核心は、FTXの姉妹会社Alameda ResearchへのFTX顧客資金の横流しにあります。
検察の主張によれば、顧客・投資家の知識・同意なしに約80億ドルがAlamedaに流出し、流動性の低い投資や政治献金に使われたとのこと。
2022年夏以降もSBFは顧客資産を使い続け、経営難に陥っていたBlockFiへ2億5,000万ドルのクレジットラインを供与。
また自身への個人ローンとして1億3,600万ドルを流用するなど、FTXの「業界リーダー」としての体裁を維持するために顧客資金を食い物にしていたのです。
FTX崩壊のタイムライン
2022年11月2日、CoinDesk がAlameda ResearchがFTX独自トークンFTTを大量保有しているという内部バランスシートを報道。
これに触発されたBinanceのCEO・趙長鹏(CZ/チャオ・チャンポン)がFTT保有分の全売却を宣言し、FTT価格が急落します。
FTXはBinanceに買収を打診し、11月8日に合意しますが、翌9日にBinanceは「顧客資金の不正処理と米規制当局の調査報告」を理由に撤退。
11月11日、FTXとAlameda Researchを含む約100社が連鎖的にChapter 11(破産法)申請し、SBFはCEOを辞任することとなりました。
FTXグループ自体が巨大だったというのもあって、巻き込まれ方も複合的。
FTXグループ内の話でいうと、FTX本体・FTX US・Alameda Research・FTX Ventures など関連会社が芋づる式に約130社。上記の「約100社」はこのグループ内の数字です。
外部への波及としては、FTXに資産を預けていたり、FTTを担保にしていた会社が連鎖破綻。
BlockFi(SBFが直前まで支援していた)、Genesis、Voyager Digital などが代表例となります。
さらに11月12日、4億7,300万〜6億5,900万ドルが「不審な取引」として流出。
内部犯行との見方もあるのですが、出所は未特定のままです。
後任CEO・John Ray III(エンロン破綻処理を指揮した人物)は就任直後、「40年のキャリアの中でこれほど完全なコーポレートガバナンスの崩壊と、信頼に値する財務情報の完全な欠如を見たことはない」と連邦破産裁判所に申告しました。
政治献金と親族関与
SBFは2022年中間選挙に向けて公開されただけで約4,000万ドルを政党・候補者・PAC(政治活動委員会)に献金。
検察は「他人の名義で献金した」という選挙資金法違反も起訴内容に含めています。
FTX破産管財チームはSBFの両親(スタンフォード大学法学教授の母Barbara Friedと父Joseph Bankman)を相手取り、不当利得として約3,000万ドルの回収訴訟を提起。
バハマの豪邸(1,640万ドル相当)と現金1,000万ドルが含まれます。
量刑と弁済状況
2022年12月12日、SBFはバハマ当局に逮捕されます。
翌13日、ニューヨーク南部地区連邦検察が陰謀・電信詐欺・証券詐欺・マネーロンダリング・選挙資金法違反を含む8件の罪状で起訴。
2023年11月、詐欺・陰謀・マネーロンダリングを含む7件で有罪評決。
禁錮25年の判決を受け、現在服役中です。
FTX回収信託は2026年3月31日に4回目の配当として約22億ドルを債権者に分配開始。
米国顧客クラス(5B)は100%回収達成の見込みで、クラス7は累計120%の配当。
ただし破産申請時点の価格(BTC約1万7,000ドル)で計算されていて、その後のBTC価格上昇分は含まれないため、「実質的損失」を訴える声は根強く残っているのです。
Sam Bankman-Fried(FTX)事件まとめ
| 観点 | 詳細 |
|---|---|
| 詐欺の構造 | 顧客資金約80億ドルを姉妹会社Alameda Researchへ無断流用。 流動性の低い投資・個人流用・政治献金に充当 |
| 崩壊の引き金 | 2022年11月、CoinDesk がAlamedaのFTT大量保有を暴露。 BinanceがFTT売却を宣言し取り付け騒ぎ発生。 買収交渉も決裂し11日間で崩壊 |
| 内部統制の崩壊 | 後任CEO John Ray IIIが「40年のキャリアでこれほど完全な ガバナンス崩壊は見たことがない」と連邦裁判所に申告 |
| 政治・親族関与 | 約4,000万ドルの政治献金(一部他人名義)。 両親も豪邸・現金計3,000万ドル相当の不当利得で訴訟対象に |
| 被害規模 | 顧客資金約80億ドル消失。FTX・Alamedaを含む約100社が連鎖破綻 |
| 刑事責任 | 2023年11月に7件の有罪評決。禁錮25年(服役中) |
| 弁済状況 | 2026年3月時点で多くのクラスが100%回収達成予定。 ただし破産時点のレート計算のため実質損失を訴える声あり |
参考
CoinDesk
・FTX
編集後記
実際に起きたSPS事件を調べると、SPSの手口そのものより、むしろ事件を起こした人物像のユニークさに目が行きます。Terra/Luna事件のDo Kwon(ド・クォン)、3AC(スリー・アローズ・キャピタル)事件のKyle Davies(カイル・デイヴィス)とSu Zhu(スー・ジュー)、そしてこのSam Bankman-Fried(FTX)事件のSam Bankman-Fried(通称SBF)も。
Terra/Luna事件|数学的に証明済みが2週間で紙くずになった日
3AC(スリー・アローズ・キャピタル)事件|35億ドルを溶かし「刑務所は楽しかった」と言い放つ創業者たち
2022年11月、「効果的利他主義」を掲げて寄付を続けていた天才、Sam Bankmanが、実は顧客資金80億ドルを自分の財布にしていたという驚きの構図ですね。
SBFは逮捕・起訴された後も、弁護士の制止を振り切ってインタビューを受け続けています。
ブログ、ニュースレター、ポッドキャスト、Twitter Spacesなど、しゃべる場があれば、どこにでも出る感じ。
その発言はすべて法廷で証拠として使われました。弁護士、泣いてたと思うわ。
スタンフォード大学の著名な法学教授を両親に持ちながら、その忠告を一切聞かなかったSam Bankman。
禁錮25年の判決後も、今度は服役中に弁護士との面会用ビデオ通話システムを使ってTucker Carlsonのインタビューに無断で応じ、翌日には独居房送りに。
懲りないのね。本当に詐欺師はよくしゃべる、「黙秘権」という概念が存在しないかのようです。
Web3詐欺関連記事
スマート・ポンジスキーム(SPS)とは?Web3の透明性を悪用する4つの手口と対策
Web3詐欺とは?知っておくべき10の手口と被害に遇わないための対策
AIの進化で「人間の証明」が必要な時代到来|World IDを狙う詐欺に注意
