AIボイスクローン詐欺の恐怖 なぜあなたは「声」だけで騙されるのか?
※当サイトはアフィリエイトプログラムを利用しています。
以前、銀行員や警察を装う「偽電話詐欺」の手口をご紹介しましたが、現在その詐欺手口は更に進化を遂げています。
【ボイスフィッシング(ビッシング)】の手口と被害を防ぐための対策ガイド
実は、米国の消費者保護機関であるFTC(連邦取引委員会)は、早くも2023年3月に「詐欺師がAIを使って家族の緊急事態を装っている」という異例のアラートを発行しました。
・詐欺師はAIを利用して家族の緊急対策を強化する
FTCの警告要旨
犯人はSNSから盗んだわずかな音声サンプルで、本人そっくりの声を生成する。
その後、事故や逮捕を装って家族に電話をかけ、パニックに乗じて送金を迫る。
もはや、耳で聞こえるものだけを信じてはいけない。
なぜ、数年前の警告が今あらためて注目されているのでしょうか?
当時は「一部の高度な犯罪」だったものが、2026年現在の今、誰でも安価にリアルタイムで声を偽装できる環境が整ってしまったからです。
一時期ニュースなどでも取沙汰されていた、有名人のフェイク動画覚えていますか?
音声付きなのですが、顔の動きも声も違和感だらけで、すぐに生成AIで作ったフェイク動画だとわかりましたよね。
声に抑揚がなく、イントネーションがおかしかったり、変な間があったりして、声だけでも偽物だと判断できる程度の物でした。
でも今はどうですか?難しい言語とされる日本語を淀みなく話し、AIかも?と意識して聞いていなければ、特に違和感はないレベルになっています。
多くの人が耳にしても変だと感じない音声を、あなたの声で再生されたら・・・家族はきっと疑わないでしょう。
なぜ私たちはボイスクローンに騙されてしまうのか?
AIボイスクローン詐欺がこれまでのオレオレ詐欺と決定的に違う点は、聴覚情報の「本物らしさ」に理性をハイジャックされることです。
私たちがなぜ騙されるのか、そこには普段無意識に行われる脳の働きがあります。
脳の弱点を突く3つの罠
「まさか声だけで騙されるの?」「ボイスクローン?大げさじゃない?」とあなたは思うかもしれません。
しかし、AIボイスクローン詐欺は、私たちの脳が持つ「思い込み」と「優しさ」を巧みに利用します。
1️⃣電話の声は脳が作った幻
そもそも、私たちが普段電話で聞いているのは、本人の声ではありません。
電話回線を通る際、データ量を抑えるために音は間引かれ、デジタル処理された「不完全な合成音」として届いています。
それなのに「本人の声」に聞こえるのは、あなたの脳が過去の記憶を頼りに、足りない音を勝手に補って再構築しているから。
電話というフィルターを通した瞬間、本物と偽物の境界線は物理的にも曖昧になります。
詐欺師はこの「システムの不完全さ」と「脳の補正能力」をセットでハックしてくるのです。
2️⃣「似ている」を「本人」に書き換える脳のクセ
私たちは日常生活の中で、常に情報を「補完」しながら生きています。
例えば、文章の中に多少の誤字脱字があっても、文脈から脳が勝手に修正してスムーズに読めてしまいますよね。
実は「聴覚」でも、これと同じことが起きているんですね。
電話越しにわずかな違和感があっても、脳は「風邪をひいているのかな?」「電波が悪いのかな?」と、都合の良い理由を勝手に見つけ出し、強引に「本人の声」へと書き換えてしまいます。
「相手を理解しようとする力」や「思いやり」が、皮肉にも偽物を本物へと昇華させてしまう。
3️⃣緊急事態を煽る仕掛け
さらに、これが「家族の一大事」となればどうでしょう。
「お母さん、助けて!」という声を聞いた瞬間、脳は瞬時に最悪のシナリオを想像し、愛する人を救うための「最適解」を導き出そうとフル回転します。
この時、脳の考える力は「どうやって救うか」に向けられ、「この声は本物か?」を疑うための余裕はゼロになります。
私たちが日常で口にする「声を聞いて安心した」という言葉。
それは声が単なるデータではなく、相手の存在そのものを証明する心の拠り所だから。
詐欺師はこの「愛する人を守りたい」という尊い本能を逆手に取ります。
耳から入る「偽りの安心感」によって理性が一瞬でハイジャックされてしまう・・・
これこそが、AIボイスクローン詐欺の最も残酷で、かつ強力な罠なのです。
最先端技術が作り出す逃げ場のない包囲網
上記のような脳の働きのせいで疑う気持ちが薄れている状態。
そこに詐欺師は、最新のテクノロジーで「逃げ場のない証拠」を更に積み上げ、疑いの余地がない状況を作り上げてしまうのです。
🔖「目」と「耳」の両方を欺くデジタル偽装
声だけでなく「状況」そのものが偽造されている点にも注目しましょう。
電話番号偽装
犯人は専用のアプリを使い、スプーフィングという電話番号を偽装する手口で、着信画面に「息子」や「実家」と表示させることが可能です。
私たちは「息子」や「実家」と表示されたスマホや固定電話の画面を見た瞬間、「身内からの電話だ」と思うだけで、疑いは持ちません。
臨場感の演出
AIは声だけでなく、背景音までも自在に合成可能。
受話器の向こうから聞こえる「警察署の喧騒」「病院のモニター音」「救急車のサイレン」といった、誰もが知る音で、「緊急事態」を煽るのです。
着信表示という視覚と、声+背景音という聴覚の両方で「証拠」を突きつけられ、疑う余地を完全に潰されてしまうわけですね。
🔖わずか数秒のサンプルで十分
犯人にとって、あなたのボイスクローンを作る準備は驚くほど簡単です。
わずか数秒のサンプルで十分
以前は長時間の録音が必要でしたが、今はTikTokやInstagramに投稿された短い動画から、AIが数秒で声の成分を抽出してしまいます。
プライベートの切り売りが信頼に変わる
SNSを遡れば、「旅行先」「友人の名前」「ペットの名前」などの個人情報は筒抜けです。
会話の中に「今、〇〇(旅行先)にいるんだけど」と具体的な事実を混ぜると、「本人しか知らないはずのことを知っている=本人だ」という強固な罠が完成します。
無言電話ですら罠の可能性
ボイスクローンは、SNSを利用していない人でもターゲットになるという点にも注意が必要です。
最近増えている無言電話。実は、あなたの声を盗むための罠かもしれませんよ。
電話に出て「もしもし?」と数回繰り返す、たったこれだけの音声があれば、最新のAIはあなたの声のクローンを作り出せてしまうのですから。
知らない番号からの電話に出ること自体が、自分の声という大切な情報を犯罪者に渡してしまうリスクがあるのです。
🔖 背景に対話ができるAIへの進化
2023年にFTC(米国連邦取引委員会)が警告を発した当初は、AIが声を生成するまでに数秒のタイムラグがありました。
しかし、わずか3年の技術革新で、それすら消し去っています。
現在のAIは、犯人がマイクに向かって喋った言葉を、コンマ数秒で「本人の声」に変換して送出できます。
「一方的に録音を流す」のではなく、こちらの質問に即座に、本人の声で答えてくるのです。
リアルタイムな対話が可能になったことで、偽物だと見破ることは不可能に近いレベルに達していると言えるでしょう。
あなたと家族を守るための新しい時代の自衛術
AI技術がどれだけ進化しても、最後にあなたを守るのは「冷静さ」と「正しい知識」です。
もはや「声を聞けばわかる」という常識は通用しません。
これからは、以下の詐欺対策における「3つのリテラシー」と「4つの具体策」をあなた自身と、あなたのご家族の標準装備にしましょう。
詐欺を見極めるための3要素
✅情報を見極める力(クリティカル・シンキング)
「聞こえてきた声は本当に本人のものか?」「画面に表示された番号は細工されていないか?」と、入ってきた情報を鵜呑みにせず、一歩引いて疑う視点を持つこと。
どんなに緊急を装われても、まずは「これって、もしかして・・・」と立ち止まる勇気が、被害を防ぐ第一歩になります。
✅技術の特性を知る力(ITリテラシー)
「今はAIで数秒あれば声をコピーできる」「電話番号は偽装できる」という最新の技術常識をアップデートしておくことです。
仕組みを知っていれば、「声が似ているから本人だ」という思い込みを未然に防ぐことができます。
✅正しく対処する力
怪しいと思った時に「合言葉を確認する」「一度切って自分の登録番号にかけ直す」といった、被害を防ぐための具体的な行動を迷わず実行できること。
知識を「知っている」だけでなく、いざという時に、あなたやあなたのご家族がすぐに実行できる状態にしておくことが重要です。
詐欺に立ち向かう4つの具体策
1️⃣家族間だけの「合言葉」を決める
これが現時点で最強の防御策でしょう。
声や着信番号は偽装できても、あなたの家族しか知らない「記憶」までAIはコピーできません。
NG例
ペットの名前、誕生日、好きなアーティストなどは、SNSから推測される可能性があるため
推奨例
「中学時代の先生のあだ名は?」「去年の誕生日に何食べた?」など、ネットに載せていない個人的なエピソードを合言葉にしましょう。
もし「今パニックで思い出せない!」と相手がはぐらかしたら、その時点で電話を切ってください。
これは誰にも公表していない、家族しか知らない私の秘密。
某アーティストのモノマネができる(笑)。ここはこんな風に歌うんだよと、家族だけは知ってるの。
そういった家族しか知らないあなたの秘密を合言葉にするといいかもしれませんね。
2️⃣必ず登録済みの番号へかけ直す
どんなに緊急を装われても、相手が指定した番号、例えばオレオレ詐欺でよくある、「携帯が壊れたからこの番号に」を信じてはいけません。
いったん電話を切り、自分のスマホに以前から登録してある「本当の番号」に直接かけ直しましょう。
そこで本人が普通に出れば、その瞬間に詐欺だと確定しますよね。
もし、電話に出なくても焦らず本人の日常的な予定を思い返してください。単に仕事で電話に出られないだけでは?
どうしても心配なら、相手に従うのではなく、警察に相談しましょう。
3️⃣無言電話は徹底して無視、または即切り
自分の声をAIの素材にさせないための基本です。
知らない番号には出ない
私も実践していますが、留守電設定は有効な対処法です。
本当に用事があれば相手はメッセージを残しますよね?
「もしもし」を繰り返さない
数秒でも声のサンプルになるのですから、無言電話に出てしまったら、即切りしましょう。
そもそも、本当に用事があれば、相手から名乗りますよね?無言の時点で論外です。
4️⃣お金の話が出たら100%詐欺
どんなに声が似ていても「これは詐欺だ」と断定して。
理由が何であれ「電話でお金は詐欺」が原則。この原則が崩れることはありません。
「声が本人だから間違いない」という時代は終わりました。
これからは、「声はコピーできるもの」という前提に立ち、大切な局面ほど慎重に、複数の方法で確認する習慣が必要です。
この記事を読み終わったら、ぜひ今夜、ご家族と「わが家だけの合言葉」を相談してみてくださいね。
技術の進化に負けない、家族の「絆」と「リテラシー」こそが、最新のAI詐欺からあなたの大切な人を守る唯一の盾になるのです。
フィッシング関連記事
これらの記事は様々な角度からフィッシングの見抜き方を解説、また対処法もありますので、ぜひご一読ください。
知識があれば詐欺を恐れることも詐欺に遇うこともなくなります。
末尾「0110」は罠!警察を騙る偽電話詐欺の手口と対策【あなたの口座が危ない】
見破れる?AIが仕掛ける最新フィッシング詐欺 脅威の裏側と対策
AIはフィッシング詐欺メールを見抜けるのか?AI vs AIの攻防!
フィッシング被害に遇ったら?フィッシングを防ぐ確実な方法とは
偽サイトに要注意!フィッシング詐欺対策に必須の【7つのポイント】
危険なリンクをクリックする前に!あなたの身を守るURLチェック術
【ボイスフィッシング(ビッシング)】の手口と被害を防ぐための対策ガイド
危険な罠を見抜け!【SNSフィッシング詐欺】の最新手口と自衛策
巧妙化する【SMSフィッシング】の脅威と対策あなたのスマホは大丈夫?
そのメール、本当に本物?個人情報を守るメールフィッシング完全対策ガイド
